美彰院
共直しとは?
▼ご挨拶
いつも美彰院美術修復スタジオのブログをご覧いただきまして誠にありがとうございます。
今回は私たち美彰院美術修復スタジオの看板でもある共直し修復に関して詳しく説明して行こうと思います。

▼共直しとは

主に陶器の欠けたり割れたりした箇所を周りの質感に似せて修理する技法です。
塗料や樹脂を使って直します。
共直しは金継ぎほど認知されていない修復技法ですが、破損してしまった箇所をできるだけ直したことが分からなくなるように修復する…魔法のような手法です。
共直しは価値を継続できる優位性がある修復方法でもあります。

▼京都の共直しの歴史
日本における共直しの歴史は長く、伝統技法とも呼べます。
京都の共直しは共漆・共継から技法が広がっていきました。
私の知っている限りですと、京都では昭和初期以降に共漆の職人さんらの中から共直しを始める方が出てきたと聞いています。
▼共直し修復の希少性

では共直し修復の希少性に関してお話を進めて行きましょう。
今回はカラーフィル修復と漆修復と比較しながら共直しに関してお話します。
カラーフィル修復とは:
ヨーロッパ圏で浸透しているガラス粉を使用した修復方法で、マイセンやヘレンドなどの磁器、ガラス直しに使用される修復方法
1970年代からは宝石のチップやクラークの補修にも使用されるようになった修復方法
漆修復とは:
文字通り漆を使用して金継・共漆直しをする修復方法
直しの名品では九十九茄子茶入れなどが有名
【共直しの優位性】
カラーフィルと比較して:
リペア修復する時に共直しの場合は外しが比較的楽であり、オリジナルの生地にストレスを掛けにくい
カラーフィルは剥離にはガラス粉が飛び散る場合がある
カラーフィル修復は磁器や宝石には非常に汎用性が高いものの、土ものや木製品には不向き
カラーフィルでは充填した境目が出来てしまいます
上記の事からお分かりかと思いますが、ヨーロッパ圏でも修復=カラーフィルではなく、エポキシ樹脂での共直を専門とするスタジオもあります
依頼される方も用途によって使い分けているのでしょう
漆と比較して:
透き漆やベンガラ、色漆などで共漆仕上げをする場合がありますが、塗った直後と数年経過した場合とで色が沈んだり色が落ち着かなかったりと変色が見られる場合があります
漆を漆で直すとストレスはありませんが、素材によっては共漆が出来ない場合があります
上記のような優位性を踏まえたうえで優先順位によってそれぞれの修復技法を考えられると良いように思います。
なお、どんなスタイルの直しでも25年前後で浮きであったり、シミであったり何かしら変化が起きてしまいます。
よりよい材料と技法が開発される事を想定して、今の最善の材料と技法で修復し、次世代へ継承していく所存です。
▼当スタジオの特徴
共直しに関して詳しくお話をしてきましたが、最後に美彰院美術修復スタジオの特徴に関してご案内させていただきます。
共直し技法では陶器、木工製品、七宝、象牙製品、漆、彫刻などなど、様々な修復が可能です。
エアブラシのみでペイントして共直しを終える方もいらっしゃいますが、当スタジオの一番の特徴は代表の坂本自身が美術大学の彫刻出身であり、樹脂造形に20年以上の知見がある事です。

したがって、上記のような塑像技術を存分に活用した幅欠損も造形修復可能です。
決まったエアブラシ吹付やカラーフィル充填など定められたキットを使用して終えるのとは異なったクオリティが当スタジオでは実現できます。
楽には楽専用のパテをオリジナル配合して作業するなど、一つ一つの作品に誠心誠意向き合って仕事させていただいております。
また、メーカーや京都市内の研究機関と活発に素材研究を重ね、UVライトに光らない共直しの技法開発をしている事も大きな特徴です。

今後もクオリティ向上の為の素材研究を進めて参ります。
京都の共直しは漆職人から技法が派生している事もあって、エアブラシが主流ではありません。
当スタジオでは伝統を大切にしながら用途に合った塗装仕上げを行っております。
詳しくリクエストお聞かせくださいませ。
▼得意とする修復

結びの言葉の前に、私たちの得意とする代表的な直しに関して以下列挙させていただきます。
・楽/大樋全般
※銀化もご相談ください
・土師器/各種土器
・各種土もの
・唐物陶磁器
※コンディションを詳しく見させていただきます
・堆朱
・漆唐物
・透き漆
・置上
※その他胡粉盛全般ご相談ください
・竹製品
・木工
・青銅器
・大幅欠損/大幅彫刻が必要な作品
代表の坂本が美大彫刻出身と言う事もあり、大幅な彫刻が必要な場合に当スタジオを利用されるお客様が多くいらっしゃいます。
その他お気軽にご相談ください。
▼最後に
共直しに関して記載して来ましたが、いかがでしたでしょうか?
いつでもお問い合わせくださいませ。
お手伝いさせていただきます。
【繋げよう、和魂漢才の力】
