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金継ぎ体験|直す時間に、身を置く

  • 執筆者の写真: 美彰院-BISHOIN- 美術修復スタジオ
    美彰院-BISHOIN- 美術修復スタジオ
  • 2月2日
  • 読了時間: 3分

金継ぎは、壊れた器を美しく飾る技法ですが、もともとは、欠けた日常を、そっと元に戻すための仕事でした。 漆を接着剤として器を直すテクニックは実は古墳時代からあります。

埋蔵文化財の掘削作業でも結構、直して使って入た器を見つけることが出来ます。


古来よりただ、今あるかたちを受け入れ静かにつなぐ暮らしの中の技法でした。


そこにあるのは、派手さではなく時間と手の感覚です。



漆のお話│職人の暮らしは、早く進まない


漆は、急かすと応えてくれません。

乾いたように見えても、内側はまだ生きている。

分子レベルの化学反応では硬化段階は二段階ありまして、完全硬化は1-2ヶ月。


職人は「今日はここまで」と手を止め、湿度や気温(作業段階によっては『加減を取る』などと言います)、漆の表情を読みながら暮らしの中で仕事をします。

金継ぎの工程は、そのまま職人が一日をどう過ごすかを教えてくれます。


進めないことも、仕事のうち。

待つことも、技術のひとつ。


金継ぎ体験は、完成を急がない


私が実施している一日金継体験は完璧な仕上がりを目指す必要はありません。

少し歪んでいても、線が震えていても、それは失敗ではなく、その人の時間の跡です。


金継ぎは、上手に直すことよりも、「直そうとした時間」が器に残る技法だと思います。


私の一番好きな茶人:山上宗二の言葉を送りたいと思います。

一、古人之曰、茶湯名人ニ成ての 果ハ、道具一種サヘ楽ハ、弥侘数寄 カ専也

私はこの言葉を『シンプルで圧倒しろ』と言う風に解釈しています。

シンプルに楽しみ、愛でる。


『侘び数寄』とは『圧倒的に好き』だと言う話です。



侘び寂びという、価値観


侘び寂びは、古びたものを愛でる感覚のみではありません。

不完全さや、移ろいを受け入れる心の『ユーモア』を指します。


自分もこの歳まで生きて思うのは、『おマヌケなくらいが良いじゃん』と身に染みる場面があります。


・欠けてしまったこと

・元には戻らないこと

・それでも使い続けるという選択


人間関係だって色んなことがありますよね、『しょうがないな、無礼講だよ!』と見逃す事が長い人生では意味を持つ事と同義語ではないでしょうか?

金継ぎは、その考え方を手を動かしながら、静かに器に落とし込む行為です。



器と向き合う時間は、自分と向き合う時間でもある


黙々と作業に集中する時間。

次の工程まで、待つこと。


その間、器は問いかけてきます。

「急がなくていいですか」

「少し欠けたままでも、大丈夫ですか」

金継ぎ体験は、職人である私の暮らしを体験しながら、自分の暮らしの速度を見直す時間でもあります。



この体験について


この金継ぎ体験では伝統的な技法とともに、それを支えてきた職人の生活感覚をお伝えしています。


美しく直すことよりも、長く付き合うこと。

完璧にすることよりも、受け入れること。


楽しんで行きましょう!



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